宅浪体験記
私は大学を卒業してから社会人として数年間働き、退職をしてから本格的に受験勉強(再受験)をはじめました。
高校生の時は内部進学で併設の大学に進学したため、これまで本格的な受験勉強を経験したことがありませんでした。
仕事は幼稚園教諭で、獣医学部を目指すのに理系科目は何も知らない状況、文系科目も何も覚えていない状況から始めました。
特に、数学II B、地学、倫理は未履修、因数分解ってなんだっけ?S V O C…?と完全に分かっていませんでした。生物も私が高校生の時は理科総合?だったため、生物基礎、生物の違いは何?という感じではじめました。
今となっては、よくこれで獣医学科を目指したなあ…といった感じですが、「とにかく獣医師になりたい!」「今の保育とは違う世界を知ってみたい」という情熱だけで、受験の世界に足を踏み入れたように思います。
これまで、予備校や個別指導塾、独学と様々な方法で勉強を進めてきました。
まず塾探しから大変で、再受験で完全にゼロからスタートの自分を受け入れてくれる塾は少なかったです。
予備校へ相談に行くと「再受験だと厳しいと思うから、入塾するには上司の許可が必要。個別指導の塾をオススメする」と断られたり、社会人が多めの個別塾に相談に行くと、「今から獣医師を目指してもねぇ…」「成績が上がらなかったら夏あたりから他学科を目指すのはどう?」と提案されたりと、あまり快く受け入れてもらえる場は少なかったように思います。
今となっては、何年も獣医学科を目指すより現実を見た方がいいという優しさだとわかるのですが、当時はそれがとても悔しかったのを覚えています。
また、個別塾に実際に通ってみても、高校生がいる場で声にだして引き算の計算をするように言われ、高校生に笑われるといった悔しい経験もしました。
獣医師になるために、大学に合格したいのに、塾の先生すら応援してくれないのか…しかも高校生に混じって自分は何をしているのだろう…と悔しさと悲しさでいっぱいになり、社会人から大学受験をするのは厳しいのだと感じました。
コロナが流行りつつある年に「宅浪のお医者さん」に出会いました。
自分にとっては理想的な塾に思えて、塾長の山本さんが私の再受験を自然に受け入れてくれたことが嬉しく、この塾なら頑張れそう!と直感で感じ入塾しました。
結果的に宅浪のお医者さんには、3年間お世話になりました。
今まで独学で進めていた時には、精神的にも不安定になりやすかったのですが、宅浪のお医者さんにお世話になってからは、とにかく時間が足りなく、勉強をしたい!という気持ちになり、本気で受験勉強に取り組めるようになりました。
何より、再受験は周りから反対される事も多く、とにかく孤独で辛い日々でしたが、宅浪のお医者さんにお世話になった事で、孤独を感じなくなりました。
どんなに自分の成績が悪くても、決して否定をせずに、どうしたら合格できるのか可能性を一緒に考えてくれ、とても心強かったです。
しかし、受験勉強を本気で進める中で、今まで経験した事のない不安もたくさん感じました。
頑張りたいのに頑張れない日々や、数学が苦手すぎて先が見えない不安、周りはどんどん人生を先に進めていくのに、自分は受かるか分からない受験勉強をして、人生の時間を無駄にしてるのではないか…いっそのこともう全部辞めて、保育の仕事に戻った方が幸せなのではないか…と何度も何度も考えました。
涙が出てくる日もたくさんありました。
受験勉強の辛さを誰かに分かって欲しく、弱音を吐きたいけれど、自分で再受験を決めたからには弱音を吐いたら負けなのではないか、とよく分からない意地があり、人に相談する事は中々できなかったです。
そんな中でも山本さんには話しやすく、何より自分に負けそうになるといつも応援をしてくれました。
生活面では、明日から早く起きよう!と決めても睡魔には勝てず、絶望感で1日をはじめる事がありました。
また、宅浪で生活リズムが狂い、運動不足で体が疲れておらず、眠れないという経験をしました。
そのため、宅浪のお医者さんにお世話になって2年目から、朝の2時間だけ週5で保育所でアルバイトをはじめました。
結果的に、保育の仕事が楽しく、少しでも社会に関わる事で精神的にも安定し、規則正しい生活になり、大正解でした!
しかし、コロナや様々な感染症を職場からもらう危険もあり、体調面にはとても気を遣いました。
また、朝の2時間とはいえ、準備や切り替えなどに時間を取られ、時間が足りなくなり、体力的にも厳しいと感じる事がありました。
私は学力が足りなさすぎたので、努力をするしかないと考え、使える時間は全て受験勉強に使う意識で過ごしました。
職場に行くバスの中や歩きながら、職場の更衣室で着替えながら、お風呂の中、髪を乾かしながらと、とにかく時間をつくる事を意識し、勉強をしました。
この1年はとにかく本気で、合格するための生活を続けました。
その結果、第一志望の国立大学はご縁がありませんでしたが、社会人入試で岡山理科大学から合格をいただきました。
どんなに難しい挑戦でも、何が起こるかわからないのが受験なので、ぜひ再受験の方・宅浪生の方は諦めないで頑張っていただきたいです。
私は長く受験勉強を続けてきたので、この数年間はいつも受験の事が頭から離れず、友達と会っても、買い物をしていても、心から楽しめない状況でした。
ですが、合格をした途端に周りの世界がキラキラして見え、支えてくれていた周りの大切な方たちが、合格を喜んでくれる姿は本当に最高です!!!
何より、諦めないでよかった!と大きな自信になります。
頑張った後の景色は素晴らしいので、自分が納得できるまでやりきっていただきたいです。
長く受験勉強を続け、合格をする事が出来たのは塾長の山本さんをはじめ、宅浪のお医者さんの皆さんのおかげです。本当にたくさん支えていただき、感謝しています。
長文になりましたが、これから再受験をする方、受験生の方の力に少しでもなれたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
塾長より一言
Sさん、夢への大きな一歩となる獣医学部の合格おめでとうございます!
正直、Sさんとの思い出はここでは振り返りきれません。
一番最初の印象は「独学でよくこれだけの勉強量をこなしてきたなぁ」だったのを覚えています。
その一方で「勉強にかなり悩んでいるな」とも感じました。つまり、努力と結果に大きな乖離がありました。
それでも「独学で努力ができるなら、きっと合格できる」と僕はSさんを信じ、実際に毎週の授業についてきてくれました。
Sさんが体験記に書いているように、本当は不安で辛くて大変だった日の方が多いと思います。それでも、合格を諦めず毎週頑張ってくる姿は素晴らしいものがあったと思います。
特に最後の一年は、本当に目を見張る努力をしていたと思います。
「努力できること」には再現性があります。つまり、Sさんはこの先のあらゆる困難に努力で立ち向かっていけると思います。
この3年間で培った「努力できること」を存分に生かして、素晴らしい獣医師になってくださいね。
これからも応援しています!
