日本史・世界史の勉強法を確立する

このページでは歴史科目の分野別勉強法を整理しています。こちらのページを見た後に、推薦参考書を眺めると「使っているイメージ」がより一層湧いてくると思います。あわせてご覧ください。

【教科別・分野別】2022年の推薦参考書の紹介

勉強法に関して言えば、日本史と世界史に大きな違いはありません。どちらも意識すべきことは共通です。

ただし力を入れる分野については少し違いがあるので、以下ではその点を明確にしながら話を進めていきます。

全体理解

※日本史・世界史の共通内容

全体理解とは、通史とも言われる勉強です。具体的なイメージとしては、教科書や参考書を最初から最後まで読むことです。

歴史科目最大の困難は「全体像を把握するのに相当時間がかかる」ということです。日本史では2000年、世界史ではそれ以上の年数を学ぶ必要があるからです。

 

一般に、全体理解の段階では教科書などの「読み込み」が推奨されます。しかし、読むだけでは覚えられません。仮に覚えられたとしても非効率です。

その理由については「暗記の基本」のページをご覧いただくとして、ここではより良い方法をご説明します。

【全体理解の効率的な進め方】

 

①「〇〇ページから△△ページまでを覚えよう」と決める

※必ず時間制限を設けて取り組む(「ちょっと無理かな?」と思うくらいの制限が良い)

 

② ①が終わったら、10分の休憩を入れる

※身体を休めることではなく、いま覚えたことを忘れることが目的

 

③休憩後、勉強した内容を(何も見ずに)まっさらなノートに思い出しながら書いていく

※誰かに授業をすることを想定し「つながり」を意識して情報を書いていく。乱雑に単語を並べるだけでは意味がない

 

④「もう限界!思い出せない!」というところまで絞りだしたら、教科書・参考書を開いて学習内容を再度確認する

※思い出せなかったこと、間違って覚えていたことを整理する

 

⑤翌日、1週間後を目安に再度③~④に取り組む

この勉強法を取り入れることで「漫然と教科書を読む」「読んだけど覚えられない」という2つの悩みを劇的に解消することができます。

もちろん、効果があるゆえに取り組むのはそれなりに大変です。しかし「楽して成績も上がる」という方法はありません。志望校に合格するために、この勉強法を必ず取り入れてほしいと思います。

テーマ史理解

※日本史・世界史の共通内容

通常、教科書や参考書は「時代順」「(世界史の場合)国別」に話が進んでいきます。

しかし、実際の入試問題は「テーマ史」という形で出題されることが多くなっています。特に難関校の場合はその傾向が顕著です。

テーマ史とは、たとえば「古代から現代までの女性の歴史」「国別の貨幣の歴史」などが該当します。

先述のように教科書や参考書は時代ごと、国ごとになっているので「あるテーマで貫いて学習する」というのが極めて困難です。たとえば、各時代の女性に関する記述を追っていくことは可能ですが、相当に大変です。

 

そこでテーマ史に関しては「全体理解がある程度できている」という前提で、テーマ史に特化した参考書を利用することを推奨しています。

テーマ史学習で一番大事なことは、当時の社会・経済・外交状況と切り離して考えてはいけないということです。

女性の歴史を考えるうえでは、当時の社会情勢とのつながりを意識する必要があるように、各テーマを学ぶうえで通史的な理解は必要不可欠です。

 

また、勉強法については全体理解と同様です。制限時間を設けて集中して勉強し、時間をあけてまっさらな紙に思い出しながら書き出すのです。

テーマ史を制することができれば、受験で怖いことはほとんどありません。ここが難関校を目指す受験生の鬼門です。

文化史

※日本史・世界史の共通内容

文化史を苦手とする受験生は本当に多いです。かつては、塾長の山本も文化史が大嫌いでした。

「でした」と過去形なのは、今では苦手意識を克服しているからです。

 

文化史を嫌いになる、苦手になる最大の理由は遺物や作品を丸暗記しようとすることにあります。

もちろん、名称は暗記する必要があります。しかし、遺物や作品も当時の社会情勢が生み出した産物であることを忘れてはいけません。

例えば日本史では「曼荼羅」と「来迎図」の区別がつかない受験生がいます。たしかに、ぱっと見の雰囲気は似たものがあるかもしれません。

しかし、これも「見た目で区別しよう」という意識が根本的な問題です。そもそも曼荼羅は密教の産物であり、来迎図は浄土教の産物です。

では、なぜ弘仁・貞観期に密教が、平安期に浄土教が流行したのか?これらを考えることによって、必ず曼荼羅と来迎図の区別がつけられるようになります。

 

まとめると、文化史は決して当時の社会と独立したものではなく、社会の産物です。そのため文化史を学ぶ際には当時の社会情勢をしっかり踏まえ、社会と作品のつながりを意識することで覚えやすくなります。

この点に留意することができれば、必ず文化史の苦手意識を払しょくすることができます。

地図問題

※世界史に限る

「世界」史と謳う以上、地図問題を避けて通ることはできません。世界地図が入っていることはもちろん、時代によって変遷する国境の変化を必ず覚える必要があります。

地図問題についても、苦手意識をもつ受験生がたくさんいます。これも、歴史の流れと地図(地理)を分けて考えていることに原因があります。

 

一部例外があるものの、歴史は「なんとなく」で領土を獲得したり、「勝手に」領土が変更することはありません。国境の変化には誰かの思惑が関わっています。

この「誰かの思惑」と「地理」のつながりをしっかりと理解しようとすることで、地図問題への苦手意識を克服しやすくなります。もちろん、地図を覚えやすくなることは言うまでもありません。

問題演習

※日本史・世界史の共通内容

歴史科目は「暗記したこと」がそのまま点数に直結しやすい科目です。例えば、数学などは公式を覚えてもほとんど得点できませんが、歴史科目は暗記さえできていれば点が取れます。

そのため、歴史科目の中心はあくまで「全体理解」「テーマ史理解」「文化史・地図」の学習です。

 

問題演習をする意義は「自分が誤解している、覚えていないことを明確にすること」です。

教科書や参考書を読んでいるだけでは、なかなか自分の弱点を特定することができません。そこで、問題を解くことによって自分の理解と向き合う必要があります。

 

ここまでの話でお気づきの通り、問題演習では点数を気にする必要は全くありません。点数ではなく、自分が何を理解していて、何を理解していないのかを丁寧に分析することが重要です。

そして分析をしたら「今週中にここを復習して、克服しよう」と明確な目標を立ててください。

この意識を持つことができれば、歴史科目は絶対にうまくいきます。世の受験生はただ闇雲に問題を解いているだけだからです。

論述演習

※体験談ゆえ日本史の話が多くなってしまっていますが、世界史も共通です

いきなり山本の個人的な話ですみません。

僕は東京大学に合格するにあたり、日本史の論述対策に本当に苦戦しました。知識を身につけても、共通テストで高得点を取れるようになっても全く書けるようになりませんでした。

論述の参考書もたくさん試しました。しかし、11月の模試では偏差値43でした。ちなみに地理はもっとヒドイのですが(我ながらよく合格できたと思います。これ11月ですからね)

この状況を打破するために、僕は「論述の典型問題の解答例を全て暗記する」という手段を取りました。まず、山川の『日本史のガイドブック』を一通り暗記し、山川の『日本史論述問題集』と過去問10年分に絞って徹底的に解答例を暗記しました。共通テスト後からだったので、1か月強で詰め込みました(さらっと書いていますが、地獄でした)

本番では、この勉強法が功を奏して日本史で39点/60点取ることができ、自分としては大満足でした。

この勉強を通じて改めて理解したのは、歴史科目も「典型問題を暗記することが重要」ということです。これは数学や理科科目では当たり前に考えられていることでした。

そこで、現在当塾では典型問題を暗記する重要性を再評価しています。もちろん僕みたいに直前期に詰め込むのはダメですが。

 

そこで夏以降で当塾の推薦参考書を参考に教材を決めてもらい、まずはその1冊を理解しつつ暗記していきましょう。

典型問題からしっかりと押さえていくことで、過去問にも太刀打ちできるようになってきます。

なお、解答例の暗記を進める上で大事なことは「理解した上で覚えること」です。当たり前ですが、解答例をただ丸暗記しただけでは意味がありません。

書くにあたって必要な知識を確認し、知識同士のつながりを理解することは当然重要です。

また、暗記する際に「書きながら」覚えることを推奨しています。それは単に覚えやすくなるということではなく、試験本番での論述力の向上につながるからです。

論述はどんなにキーワードを満たしていても、日本語が成立していなければ0点です。可能な限りで信頼できる人に添削を依頼するようにしましょう。

まとめ

以上で歴史科目の勉強法解説は終了です。

活かせそうなところから、徐々に取り入れていってもらえれば必ずや成績は上がっていきます。あとはあなたが行動するだけです。受験は行動した人が勝者になるゲームです。

「もっと詳しく聞きたい」「アドバイスが欲しい」という人は、ぜひ当塾の無料相談をご利用くださいね!

宅浪の悩みは専門塾が解決